
親が施設に入った、あるいは亡くなって、誰も住まなくなった実家。「いつか片付けよう」と先送りするうちに、空き家のまま年月が過ぎてしまうケースは少なくありません。維持費や固定資産税はかかり続け、建物は傷んでいきます。
この記事では、東京・首都圏で「実家じまい」を進める人に向けて、相続から売却までの手順と、つまずきやすい注意点を整理します。
この記事でわかること
- 実家じまいから売却までの全体の流れ
- 名義変更や遺品整理など事前に必要な手続き
- 兄弟間や税金でつまずかないための注意点
実家じまいから売却までの流れ

実家を売るには、まず「売れる状態」に整える必要があります。住んでいた家をそのまま市場に出せるわけではありません。
全体の手順
- 相続人と方針を話し合う
- 相続登記(名義変更)を行う
- 遺品整理・残置物の処分
- 査定・媒介契約
- 売却活動・契約・引き渡し
特に時間がかかりやすいのが、相続人どうしの合意形成と遺品整理です。ここを丁寧に進めることが、後のトラブルを防ぎます。
空き家のまま放置するリスク
決断を先送りにすると、固定資産税や管理の手間が続くだけでなく、老朽化や近隣トラブルの原因にもなります。管理が行き届かない空き家は行政から指導の対象になることもあり、早めの対応が望まれます。
放置で生じる主な負担は次の通りです。
- 固定資産税・都市計画税などの維持コスト
- 庭木の手入れや通気など、管理の手間
- 建物の老朽化による資産価値の低下
- 雨漏りや害虫、近隣への迷惑といったトラブル
「使わない家」を持ち続けることは、見えにくいコストを払い続けることでもあります。早めに方針を決めることが、結果的に負担を軽くします。
売却前に必要な手続き
実家を売る前提として、名義の整理が欠かせません。
相続登記(名義変更)
親名義のままでは売却できないため、相続人へ名義を変更する 相続登記 が必要です。2024年から相続登記は義務化されており、放置すると過料の対象になる可能性があります。誰が相続するかを決め、必要書類をそろえて登記を済ませましょう。
遺品整理と残置物の処分
家の中の家財や残置物は、原則として引き渡しまでに片付けます。量が多い場合は専門業者に依頼するのが現実的です。思い出の品の仕分けには時間がかかるため、売却スケジュールに余裕を持たせておくと安心です。
兄弟間で揉めないための進め方
相続人が複数いる場合、お金が絡むほど意見が割れやすくなります。
早い段階で方針を共有する
- 売って現金で分けるのか、誰かが引き継ぐのか
- 売却価格の下限や希望時期
- 諸費用や税金の負担をどう分けるか
これらを早い段階で話し合い、できれば書面に残しておくと、後の行き違いを防げます。一人だけで話を進めると、不信感の原因になりがちです。
共有名義のまま売る場合の注意
相続人全員の共有名義になっている場合、売却には全員の同意が必要です。一人でも反対すると進められないため、窓口役を決めて情報を共有しながら進めるとスムーズです。
実家売却で知っておきたい税金
実家の売却では、税制上の特例を確認しておくと手取りが変わることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡所得税 | 売却益が出た場合に課税 |
| 取得費 | 不明な場合は概算取得費で計算することも |
| 空き家の特例 | 一定要件で控除を受けられる場合がある |
取得費が分からないとき
親が家を買ったときの契約書が見つからず、取得費が不明なケースは多くあります。その場合、売却価格の一定割合を概算取得費とする方法もありますが、税負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。
空き家に関する特例
相続した空き家を一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から控除を受けられる特例が設けられています。要件は細かく、適用期限もあるため、利用を検討するなら早めに税理士へ確認しましょう。建物の耐震性や、相続からの売却までの期間など、満たすべき条件が複数あります。
売る前にリフォームすべきか
古い実家を売るとき、「リフォームしてから売ったほうが高く売れるのでは」と考える人もいます。しかし、費用をかけても売却価格に十分に反映されないことも多く、買主が自分好みに手を入れたいと考えるケースもあります。基本的には現状のまま売る前提で査定を受け、必要性は担当者と相談して判断するのが堅実です。
※2026年時点の一般的な目安です。相続登記や税の特例は要件・期限が変わることがあるため、専門家にご確認ください。
よくある質問
Q. 相続登記をしないと売却できませんか?
A. はい、親名義のままでは売却できないため、相続人への名義変更(相続登記)が必要です。相続登記は義務化されており、放置すると過料の対象になる可能性もあります。売却を考えるなら、早めに登記を済ませておきましょう。
Q. 遺品整理が終わらないと売れませんか?
A. 原則として引き渡しまでに残置物を片付ける必要があります。ただし、現状のまま引き渡せる条件で売る方法や、買取で対応できる場合もあります。整理の負担が大きいときは、片付けの手間も含めて担当者に相談してみましょう。
Q. 兄弟で意見が合わないときはどうすればいいですか?
A. まずは売却の目的や希望条件を全員で共有し、合意点を探ることが大切です。話し合いがまとまらない場合は、不動産会社や専門家を交えて中立的に整理する方法もあります。決めた内容は書面に残し、後の行き違いを防ぎましょう。
まとめ
実家じまいは、①相続人で方針を共有し、②相続登記と遺品整理を済ませ、③査定・売却へ進む、という順で計画的に進めるのがコツです。空き家を放置するほど負担は増えていくため、早めの一歩が肝心です。
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